人格主義、インサイドアウト@7つの習慣

個性主義と人格主義

最近50年間に出版された成功に関する文献はどれも表面的なものである。

そこに書かれているのは、社交的なイメージの作り方やその場しのぎのテクニックばかりだ。

痛みに鎮痛剤や絆創膏で応急処置を施せば、確かに痛みは消える。

問題は解決したかに見えるかもしれないが、根本にある慢性的な原因をほったらかしにしていたら、いずれ化膿して再発することになる。

一方で、建国から150年間に書かれた成功に関する文献は、誠意、謙虚、誠実、忍耐、勤勉、質素、節制、黄金律など、人間の内面にある人格的なことを成功の条件にあげている。

これを人格主義と呼ぶ。

どの国でも、どの経済状況においても人生を成功する人はいる。それは、テクニックを知っていればいるほど成功するという説明では証明できないと考える。人間としてどうあるか、その点であればもしかしたら証明できるかもしれない。

 

第一の偉大さ、第二の偉大さ

個性を伸ばすこと、コミュニケーションスキルのトレーニング、他者に影響を及ぼす戦略、ポジティブシンキングといった個性主義の様々な要素が成功に不要なわけではない。

それどころか不可欠な場合もある。

あくまで第一の要素ではない二次的な要素だということだ。

 

二面性や不誠実など人格に根本的な欠陥がありながら、人に影響を及ぼす戦術やテクニックを使って自分の思い通りに人を動かしたり、もっと仕事の成績を上げさせたり、士気を高めたりしようとして一時的にはうまくいったとしても、長続きするわけがない。

信頼という土台がなければ、成功は長続きしない。

基礎となら人格の良さがあって初めて、テクニックも生きてくる。

 

農場に一夜漬けは通用しない。春に種まきを忘れ、夏は遊びたいだけ遊び、秋になってから収穫のために一夜漬けで頑張る。

そんなことはありえない。

農場は自然のシステムで動いている。

必要な努めを果たし、定まった手順を踏まなければならない。

種を蒔いたものしか刈り取れない。

そこに近道はないのだ。

この原則は人の行動や人間関係にも当てはまる。

真の誠実さや根本的な人格の強さがなければ、厳しい状況に直面した時に本当の動機が露わになり、関係が破綻し、結局のところ成功は短命に終わるのである。

見せかけではない真のあなた自身の影響が、常に周囲に放たれているのだ。

何事もバランスが大事だと思うが、どうしても個性主義の方が楽に成果が出そうで惹かれてしまう。しかし、どんなことがあっても信頼の重要性は忘れてはならない。

 

 

パラダイムの力

パラダイムとは平たく言えば、物事の「見方」であり、物事をどう認識し理解し、解釈しているかである。

 

人は皆それぞれ頭の中にたくさんの地図を持っている。

これらの地図は二つに大別できる。

「あるがままの状態」が記された地図(現実)、そして「あるべき状態」が記された地図(価値観)である。

私たちは、経験することのすべてをこれらの地図を通して解釈している。

地図が正確かどうかを疑うことは滅多にない。

地図を持っっていることするら意識しないのが普通だ。

ただ単純に、物事はこうなのだ、こうあるべきなのだと思い込んでいるだけなのである。

私たちの態度や行動は、こうした思い込みから生まれる。

物事をどう見るかが、私たちの態度と行動を決めている。

誰しも、自分は物事をあるがままに、客観的に見ていると思いがちである。

だが実際はそうではない。

私たちは、世界をあるがままに見ているのではなく、私たちのあるがままの世界を見ているのであり、自分自身が条件付けされた状態で世界を見ているのである。

自分の頭の中にある地図、思い込み、つまり基本的なパラダイムと、それによって受ける影響の程度を自覚し、理解するほど、自分のパラダイムに対して責任を持てるようになる。

自分のパラダイムを見つめ、現実にすり合わせ、他の人の意見に耳を傾け、その人のパラダイムを受け入れる。その結果、はるかに客観的で、より大きな絵が見えてくるのである。

自分がどのようなパラダイムで生きているのか?

それによって受ける影響は自覚しているか?

という問いが重要である。

 

パラダイムシフトの力

パラダイムシフトがプラスに働こうがマイナスに働こうが、あるいは一瞬にして起ころうが徐々に進行していこうが、一つのものの見方から別の見方に移行することは大きな変化を生む。正しくても間違っていても、私たちのパラダイムが態度と行動を決め、ひいては人間関係のあり方にも影響するのである。

人生を揺るがす危機に直面し、物事の優先順位が突如として変わる時、あるいは夫や妻、親、管理職、リーダーなど新しい役割を引き受ける時、多くの人は考え方が根本から変化するパラダイムシフトを体験している。

大きな変化、劇的な変化を望むのなら、土台とならパラダイムを変えなくてはならない。

社会に出るという、役割の変化も間違いなく大きな変化を引き起こす。

 

見方=あり方

パラダイムと人格を切り離すことはできない。

人間においては、あり方は見方に直結するのでありどう見るかどうあるかは強い相関関係で結ばれているからだ。

あり方を変えずに見方を変えることはできない。

その逆もまたしかり。

 

原則中心のパラダイム

原則とは、誠実、正直、人間の尊厳、奉仕、貢献、本質など、人は生まれながらにして天則の存在を知り、意識している。

 

成長と変化の原則

すべての生命に、成長と発達のしかるべき順序がある。

どの段階も重要であり時間がかかる。

省略できる段階は一つもない。

 

学習の第一歩は、自分の無知を認めることである。

 

問題の見方こそが問題である。

長期的展望を持つ経営者は皆、モチベーションアップなどのセミナーに嫌気がさしている。

彼らは本質を求めている。

鎮痛剤や絆創膏ではない長期的プロセスを求めているのだ。

慢性的な問題を解決し、永続的な成果をもたらす原則に取り組みたいのである。

問題の本質を探し出そうとし、クリティカルな解決策を探ろうとするが、なかなか上手くいかない。

そんな時は、問題の見方こそが大きな問題なのかもしれない。

自分の持っているパラダイムが、時間、生活、自分自身に対する見方を誤らせていることはないだろうか。

 

新しいレベルの思考
 我々の直面する重要な問題は、その問題を作った時と同じ思考のレベルで解決することはできない。-アルベルト・アインシュタイン

自分自身の内面を見つめ、周囲を見回してみると、様々な問題は結局、個性主義に従って生き、人間関係を築いてきたからだと気づくはずだ。

これらの問題は深くて根本的な問題であり、問題を作った時と同じ個性主義のレベルでは解決できないのだ。 

7つの習慣は、この新しいレベルの思考である。

原則を中心に据え、人格を土台とし、インサイドアウトのアプローチによって、個人の成長、効果的な人間関係を実現しようという思考である。

インサイドアウトとは、一言で言えば、自分自身の内面から始めるという意味である。内面の最も深くにあるパラダイム、人格、動機を見つめることから始めるのである。

インサイドアウトのアプローチでは、公的成功を果たすためには、まず自分自身を制する私的成功を果たさなくてはならない。自分との約束を果たすことができて初めて、他者との約束を守ることができる。

アウトサイドインのパラダイムに従った人は、被害者意識に凝り固まり、思うようにいかない我が身の状況を他の人や環境のせいにする。

お互い相手だけが変わることを望み、相手の罪をあげつらい、相手の態度を改めさせようとする。

どんな問題であれ、外に原因を作ってしまったら、何も解決しない上に、自分もしんどい思いをしてしまい、そのしんどい思いは慢性的なもののまま残り、同じ問題が起きた時にさらなる大きな問題となる。

どんな問題でも、

自分の見方、あり方を

見直すことが最も効果的だと考える。

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